中ノ島美術館ロゴ

中ノ島美術館ロゴ

検索範囲(複数選択可)

サイト内全検索コレクション検索展覧会検索イベント検索プレスリリース検索

ABOUT US美術館について

建築・VI・家具

建物をつらぬく
「パッサージュ」

大阪中之島美術館の建築の核となる思想は「パッサージュ」です。「パッサージュ passage」とは、フランス語で歩行者専用のアーケードで囲われた通路や自由に歩ける小径のこと。大阪市が実施した公募型設計競技では、美術館の核となる場所「パッサージュ」を「展覧会入場者だけでなく幅広い世代の人が誰でも気軽に自由に訪れることのできる賑わいのあるオープンな屋内空間」として提案を求めました。

この設計コンペには海外からを含む多くの参加者からの設計提案がありましたが、その中から3度にわたる審査を経て選ばれたのが遠藤克彦氏による提案でした。その提案の核となる「さまざまな人と活動が交錯する都市のような美術館」におけるパッサージュは、建物の「spine=背骨」であり、1–5階までの吹き抜け天井から柔らかく光が降り注ぐ立体的な空間として美術館の中心に位置付けられています。

大阪中之島美術館にとってパッサージュとは、誰もが気軽にアクセスでき、訪れる人にとって居心地の良い場所。美術館に興味がある人も、ない人も、誰もが自分の「居場所」を見い出せるような存在となる場所を象徴しています。大阪のまちを移動する人びとが通り抜け、そこはときにアートを体感できる、アートの活動拠点となり、さまざまな活動ができる流動的な空間となります。そして、建物の内と外を融合する空間でもあります。

設計者紹介

株式会社 遠藤克彦建築研究所 代表取締役

遠藤克彦 Katsuhiko Endo

1970年横浜市生まれ。1992年武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部建築学科卒業。1995年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。同大学院博士課程進学。1997年遠藤建築研究所設立。2007年株式会社遠藤克彦建築研究所に組織変更。2017年大阪オフィス開設。2019年大子オフィス開設。2017年「大阪新美術館公募型設計競技 最優秀」受賞(*新美術館の呼称は2018年に「大阪中之島美術館」と決定)、その他、主な受賞に「佐々町庁舎建設工事基本設計・実施設計業務委託に係る公募型プロポーザル 最優秀」(2020年)、「本山町新庁舎基本計画・基本設計業務プロポーザル 最優秀」(2019年)、「茨城県大子町新庁舎建築設計業務公募型プロポーザル 最優秀」(2018年)、「第15回公共建築賞 優秀賞(豊田市自然観察の森ネイチャーセンター)」(2016年)などがある。

受賞

2022 第41回大阪都市景観建築賞 奨励賞
2022 第32回AACA賞 奨励賞2023
2022年度JIA日本建築大賞

VIについて

大阪中之島美術館は、美術館の全てのイメージ統一とブランディングのために優れたビジュアル・アイデンティティ(VI)構築を求め、公募型プロポーザルにより企画提案を募集しました。多数の応募者の中から2度の選考会議を経て選ばれたのが大西隆介氏によるデザインです。

VIイメージの中心となるシンボルマークは、特徴的な美術館の黒い外観とNakanoshimaの頭文字の「N」をモチーフとしています。建築と名称の頭文字がリンクした造形は、瞬時に大阪中之島美術館を連想させるものです。明快に美術館を表しているので、人びとが「あの黒い外観の美術館だよ」と、マーク自体がコミュニケーションを促す役割を担うのです。マークの比率は建築図面を参考にして割り出されました。上下のホワイトスペースは、実際の建築に切り欠くように入っているガラス面のイメージを取り入れたものです。このシンボルマークは、中之島の頭文字のNでなければ成立しなかったマークといえるでしょう。

ロゴタイプ(美術館の名称部分の文字)は、直線的で横長なシンボルマークと響き合うように、細かく軽やかなラインを用いて平体(通常よりも横長の文字)に設計されています。この軽快なロゴタイプは、誰もがアクセスできる気軽さと親しみやすさ、美術館の先進性を表現しています。また、欧文ロゴタイプの頭文字「N・M・A」を横に伸ばすことで、変化を表すと同時にロゴタイプとして組んだときの独自性が高められています。

デザイナー紹介

株式会社 direction Q 代表取締役

大西隆介 Takasuke Onishi

1976年埼玉県生まれ。日本大学法学部法律学科を経て、多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。2009年direction Q 開始。ブランドイメージの設計から運用に至るまでのトータルディレクションを手掛ける一方、文化・芸術事業関連の支援も積極的に行う。主な仕事に梅田スカイビルの空中庭園VI およびサイン(2018年)、代官山ヒルサイドテラス50周年記念事業のトータルディレクション(2019年)、ヨコハマトリエンナーレ2017の広報デザイン、谷川俊太郎 『せんはうたう』(2013年)、吉本ばなな 『下北沢について』(2013–2015年)の装丁など。長岡造形大学非常勤講師。

受賞

2023 日本タイポグラフィ年鑑2023 グランプリ

モーションロゴに
ついて

当ウェブサイトのトップページに表示されるモーションロゴは、VIデザイナーのリクエストで、映像作家・井口皓太氏によるものです。「水都大阪、中之島の川面のゆらぎ、近代美術・現代美術・デザインのコレクション」などのキーワードを伝え、制作していただきました。大阪中之島美術館のコンセプトとVIデザインに沿うのみならず、さらにその思想を鮮明に表現するモーションロゴとなっています。

「美術館のシンボルマークである『N』は、正方形のグリッドで構成されており、それはいか様にもかたちを変えられることを意味しています。作品と出合い、感動し、訪れる人々の心がつながり合っていくことで、絶えずかたちが変化していく美術館ができれば素敵だという思いで動きを付けました。

ルービックキューブのように立方体が動き、かたちからかたちへと変移していきますが、グリッドの単位すらも変化を付けることで曲線的な動きや有機的なラインが生み出されるように設計しています。それは、われわれが見ている『1』がミクロにもマクロにもなるということであり、そうした視点の転換で生まれる断定しきれない造形が新しい時代の温度感のように感じています。

この水のように揺らぐモーションが、水都である中之島の地でさらに交わり合い、新たな文化の潮流が生まれることを願っております」(井口氏)

映像デザイナー / クリエイティブディレクター
井口皓太 Kota Iguchi

家具について

美術館の顔ともいえるパッサージュを中心とした、共用空間に設置する家具の製作者について公募型プロポーザル方式による選定を実施しました。多数の応募者の中から「カンディハウス・藤森泰司アトリエ共同事業体」が製作者に選ばれました。

大阪中之島美術館に来館された方が最初に足を踏み入れるのは共用空間・パッサージュです。ここに設置されるチェアやベンチのデザインは、館内の印象を大きく左右します。提案にあたって藤森泰司氏は「この空間には、天然の木を使った家具が合う」と考え、北海道ナラ材にて製作されています。建築と調和するように配慮したデザインと木質の柔らかな手触りが来館者を豊かな美術体験へ導きます。

当館のシンボルマークとオリジナル家具は共通する要素があります。建築からインスピレーションを受けていること、そして中之島の頭文字「N」をデザインモチーフにしていることです。こうしたことによって、大阪中之島美術館にしかない特別感を創出しています。

bench

ベンチ|Bench

chair

チェア|Chair

lounge-chair

ラウンジチェア|Lounge Chair

sofa-bench

ソファベンチ|Sofa Bench

Photography : Masaki Ogawa

家具デザイナー

株式会社 藤森泰司アトリエ 代表

藤森泰司 Taiji Fujimori

1991年東京造形⼤学卒業後、家具デザイナー・⼤橋晃朗に師事。1992年⻑⾕川逸⼦・建築計画⼯房に勤務。1999年「藤森泰司アトリエ」設⽴。伊東豊雄、⼭本理顕など多くの建築家とのコラボレーション、プロダクト・ 空間デザインを⾏う。近年は公共施設への特注家具から、「arflex」などハイブランドの製品、オフィス、⼩中学校の学童家具まで幅広く⼿がける。グッドデザイン特別賞など受賞多数。著書「家具デザイナー藤森泰司の仕事」(彰国社)。

製作

株式会社カンディハウス

1968年創業 国内有数の家具産地、北海道・旭川の⽊製家具メーカー。 国内外のデザイナーと共に妥協のない製品開発に取り組みながら、北海道の⾃然と⽇本の⽂化に育まれた美意識をデザインとものづくりに⽣かし、⻑く愛着を持って使える家具づくりを⽬指す。

当館のパッサージュに設置されている家具はカンディハウスにてシリーズ 「NAKKA[ナッカ]」として発売されています。

詳細はこちら