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サラ・モリス 取引権限
2026-01-31 – 2026-04-05
概要
モリスは大阪中之島美術館と関わりが深いアーティストです。当館は、モリスの作品を日本で初めてコレクションに加えた美術館であり、所蔵作品にはモリスの大型絵画や映像作品《サクラ》があります。
「サラ・モリス 取引権限」は日本初となるモリスの大規模個展です。本展では、モリスの30年以上にわたるキャリアの中で生み出された作品を100点近く展示します。展示作品には、絵画はもちろん、映像作品全17点やドローイング、本展のため制作される大型の壁画が含まれます。2018年、桜の開花直前に関西などで撮影された《サクラ》も展示されます。
展覧会情報
| 会期 | 2026年1月31日(土)– 4月5日(日) 休館日:月曜日、2/24(火) *2/23(月・祝)は開館 |
|---|---|
| 開場時間 | 10:00 – 17:00(入場は16:30まで) |
| 会場 | 大阪中之島美術館 5階展示室 |
| 主催 | 大阪中之島美術館 |
| 協賛 | Kevin P. Mahaney Foundation、株式会社サクラクレパス |
| 協力 | リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション |
| 助成 | 公益財団法人大林財団 |
| 後援 | 在大阪・神戸米国総領事 |
| 観覧料 | 一般 1800円(団体1600円) 高大生 1200円(団体1000円) 中学生以下 無料 *2025年12月1日(月)10:00から販売開始予定 *当館メンバーシップ会員の無料鑑賞/会員割引 対象 [3セット券]4500円(一般のみ) *1名で3回、もしくは3名でご利用いただけます。 *販売期間:12月1日(月)10:00 – 1月30日(金)23:59 [リピート割]一般・高大生とも200円引き *会期中のみ販売、本展の有料観覧券の半券提示必須 *大阪中之島美術館2階チケットカウンターでのみ販売 *税込み価格。 *団体料金は20名以上。団体鑑賞をご希望される場合は事前に開館時間・料金・団体受付ページからお申込みください。 *学校団体の場合はご来場の4週間前までに学校団体見学のご案内からお申込みください。 *障がい者手帳(身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳)をお持ちの方(介護者1名を含む)は当日料金の半額(要証明)。ご来館当日、2階のチケットカウンターにてお買い求めください。(事前予約不要) *一般以外の料金でご利用される方は証明できるものを当日ご提示ください。 *本展は、大阪市内在住の65歳以上の方も一般料金が必要です。 *災害などにより臨時で休館となる場合があります。 【チケットの主な販売場所】 大阪中之島美術館チケットサイト、ローソンチケット(Lコード:52247)、ローソン各店舗 |
みどころ
1. 国際的アートシーンを牽引するサラ・モリス、日本初の大規模個展
2. 出展作品の約90%が日本初公開
3. 新作壁画、関西ゆかりの映像作品を展示
作家紹介

Photo: Anna Gaskell
サラ・モリス 略歴 1967年英国出身、現在はニューヨークを拠点に活動。図式的なグリッドを用いた幾何学的な抽象絵画で知られ、国際的に高い評価を受ける。様々な形状を使い視覚的構造物を生み出すモリスが扱うテーマは、多国籍企業や輸送ネットワーク、地図、GPS技術、月の満ち欠けの周期など多岐にわたる。絵画と並行して制作している映像作品は、多層的かつ断片的なナラティブを通した心理地理学的探求であり、変動し続ける都市の性質も探っている。モリスは自身と鑑賞者を映像の中に投じ、社会の階層性を映し出している
概要
主要作品の絵画約40点、映像作品17点を展示
本展では、モリスの初期の作品から最近の作品まで約40点の重要な絵画を展示し、絵画と並行して制作された映像作品も、新作含めてすべて上映します。モリスの創作活動を時系列で総覧する本展では、変わり続ける世界の大都市に対するモリスの関心がうかがえます。都市において複雑に絡み合う文化・政治・経済構造が、美しさや緊張感、不安定さとともに、絵画と映像に表れています。
展示室に描かれる新作壁画、関西ゆかりの映像作品を展示

リッポー[ポール・ルドルフ] タイクン・ミュージアムでの展示風景 2024年
家庭用グロス塗料、壁 6.74 × 20.95 m
Commissioned by Tai Kwun Contemporary
*参考画像
本展のために展示室の壁に描かれる新作の大型壁画にくわえ、2018年に関西などで撮影して作られた映像作品《サクラ》など日本にまつわる作品も展示します。
出品作品
「サイン・ペインティング」シリーズ
モリスは1990年代に、ニューヨークで本格的にアーティスト活動を始めました。初期の絵画シリーズである「サイン・ペインティング」の元となったのは、金物屋やホームセンターで販売されていた境界をめぐる注意喚起用の標識看板でした。
「BEWARE OF THE DOG(猛犬注意)」や「NO LOITERING(たむろ禁止)」といった命令的な文言の背景にあるのは、アメリカ合衆国憲法では、武器を保有し自ら所有物を守る権利も認められているという事実です。モリスは標識特有の極めて簡潔な表現を借りて、過度な自衛意識をも示唆しています。
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《猛犬注意》1994年
家庭用グロス塗料、カンヴァス 122 x 170 cm 作家蔵
Photo: Tom Powel Imaging
「ミッドタウン」シリーズ
モリスは1990年代初頭、タイムズ・スクエアの近くの42丁目にあった安いスタジオを借りました。そこは、夜の街に潜む闇と、大手米国企業のビルに反射する光がせめぎ合う地区です。
本シリーズは、シーグラム・ビルディングなど、マンハッタンのミッドタウンにある国際経済の中心を象徴する高層ビル群をテーマとしています。モリスはこの緊張感に満ちた地区を撮影して断片的な建築物のイメージを収集し、それをもとに絵画を制作しました。
グリッドによる構成がミッドタウンのビルが持つ構造的特徴を捉え、つややかな色彩にはこれらのビルに対する心理的な解釈も表れています。
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《ミッドタウン - 蛍光灯の灯るシーグラム・ビルディング》1999年
家庭用グロス塗料、カンヴァス 214 x 214 cm 作家蔵
Photo: Stephen White -

シーグラム・ビルディング
*参考画像
「サウンドグラフ」シリーズ
「サウンドグラフ」は、モリスの絵画と映像作品の交差地点に位置づけられる絵画シリーズです。この絵画シリーズは、映像作品《有限のゲームと無限のゲーム》の撮影時にモリスが録音した音声をもとにしています。硬質な輪郭を持つ幾何学的形状がカンヴァス上で不規則に進行と退行を繰り返す構図は、膨張と収縮を繰り返しているようでもあり、コーディングを視覚化しているようにも見えます。

《社会は抽象的であり、文化は具体的である [サウンドグラフ]》2018年
家庭用グロス塗料、カンヴァス 214 x 428 cm 大阪中之島美術館
「スパイダーウェブ」シリーズ
コロナ禍でステイホームを余儀なくされたモリスは、自然物、すなわち蜘蛛の巣に着目しました。一見恣意的でありながらもシステマチックな蜘蛛の巣の形に魅了されたモリスは、これをモチーフに同シリーズを制作しました。拡張し続ける有機物である蜘蛛の巣は、都市の様相に重なります。
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《ジレンマ[スパイダーウェブ]》2020年
家庭用グロス塗料、カンヴァス 214 x 271 cm White Cube
Courtesy of the Artist and White Cube -

《求愛行動[スパイダーウェブ]》2021年
家庭用グロス塗料、カンヴァス 214 x 271 cm White Cube
Courtesy of the Artist and White Cube
Photo: Tom Powel Imaging
映像作品 《サクラ》
世界の主要都市を描いた絵画と並行して、モリスはその都市での体験をもとに映画も制作しています。
都市の文化やそこに通底するものを捉えつつ、モリスの映像は様々な個人や場所を映し出します。その対象は幅広く、絵の具やパステルで有名なクレパス®工場や、ユネスコ無形文化遺産である文楽、レンゾ・ピアノが設計した関西国際空港旅客ターミナルビル、剣道、サントリー山崎蒸溜所、ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授の研究所などが含まれています。
《サクラ》は、日本で古くから商業、文化が栄えた都市の物語です。本作は大阪を、東京と対をなす都市あるいは「第二の首都」として捉え、絶えず変化し続けるその様を、日本の経済と文化の系譜を映す鏡として提示しています。モリスは都市空間を切り出すことで、過去の亡霊と未来の構想が現れ、掬い上げられ、果てしなく反響し合う、歴史的断面図を露わにしました。社会に存在する力関係を次々に映し出す複雑な心理的光景は、ドキュメンタリーとフィクションの境界で巧みに揺れ動きながら、大阪特有の時間の流れと混じり合います。
この映像作品の撮影に当館も協力した経緯もあり、当館と特別なつながりがある作品です。

《サクラ》 2018年
HD Digital, 50分6秒 大阪中之島美術館
その他の出品作品
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《SM 反転された輪郭[イニシャル]》2011年
家庭用グロス塗料、カンヴァス 214 x 214 cm 個人蔵
Photo: Christopher Burke -

《SRHMRRS3》2001年
家庭用グロス塗料、カンヴァス 256.5 x 198cm 個人蔵
Photo: Stephen White -

《ビタソイ[香港]》2024年
家庭用グロス塗料、カンヴァス 207 x 152.5cm White Cube
Photo: Tom Powel Imaging -

《いじわるナース》1997年
家庭用グロス塗料、カンヴァス 182.8 x 233.68cm 個人蔵
Photo: Stephen White
いずれもサラ・モリス作、© Sarah Morris





